マイクロ接合研究委員会　第70回

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M J 　　第７０回　マイクロ接合研究委員会

			第６９回

■ MJ-421-2002・・・エレクトロニクス分野の接着剤－種類と接着機構－　　

上田兼司（サンユレック）

　今までは電子機器製品は使用特性、長期信頼性が主要点であった。近年はさらに地球環境を考慮した製品でならなければならない。自動車産業分野も、安全性の向上、省エネルギー化、地球環境問題としての排気ガス対策化、そしてI.T.化により自動車への電子機器の搭載が多くなってきた。これらの電子機器、車載用電子機器には必ず、接着剤が使用されている。いろいろな種類の接着剤が目的に応じて幅広く使用されている。これらの接着剤は電子機器製品や自動車の安全性を左右させる重要な素材料の一つである。接着剤も電子機器の今後の動向を的確に把握しこれに追従する開発が必要である。電子機器も適した接着剤をうまく使用し、その機能を十分発揮させることが必要である事が報告された。

■ MJ-422-2002・・・Ｐｂフリーソルダの特許調査報告

江田忠弘（リコー㈱）

　鉛フリーはんだの合金と錫合金めっきの特許報告(米国,日本,欧州)である。欧州特許は,EP(European Patent), WIPO(World Intellectual PropertyOrganization)を主として報告する。尚,欧州特許報告は、アシ゛アの特許(中国,韓国,台湾)を含んでいる。めっきの調査は,錫合金めっきに限定した。公開制度のため,審査請求されていなかったり,審査中のものがある。これで3回(1997,2000,2002年) に渡って続いた調査報告は,終了する事が報告された。

■ MJ-423-2002・・・はんだ代替導電性接着剤の開発と金属との接合メカニズム

小日向茂（住友金属鉱山㈱）

　近年、電子機器に使用されるPb（鉛）およびその化合物は環境・人体への問題から使用が敬遠されている。これに代わってPbフリーハンダが実用化されているが、更に進めて導電性接着剤による素子接続方法がポストソルダリング技術として注目を浴びてきている。導電性接着剤は、Pbハンダ・Pbフリーハンダに比べ、接合力・電気的接続性（抵抗値）・熱伝導性などで凌駕できない部分もあるが、安全性・省エネ・リサイクルの容易性・低温接続性・種々の実装方法への適合性等の利点により実用化のレベルに入ってきている。ここでは、はんだ代替・面実装用途に開発されている導電性接着剤について組成・特性の概要と、新たに高機能化が求められている用途への接合性・熱伝導性・周波数特性について、最近の動向の概説が報告された。

■ MJ-424-2002・・・導電性接着剤技術開発の現状

菅沼克昭(大阪大学)

　鉛フリーはんだ代替材料としての導電性接着剤の概要に関して導電性接着剤の特徴を製造時の高環境負荷・フィラーの資源枯渇・フィラーの高価格，高耐熱性・金属樹脂接合界面の信頼性データの不足，フィラーと電極の界面反応などの問題点などを改めて総括し，考えられる今後の開発技術指針としてリペア性，セルフアラインメント性，スルーホール・ビアホールなどへの対応ナノペースト化を上げ，今後市場開拓に望んで対策が必要とされる項目を戦略的な1)認知度,2)低価格化,3)国際競争と新技術の積極的な知的財産化という面と、技術的な1)物性評価方法,2)信頼性評価・寿命予測手法,3)Snとの界面の高温界面劣化抑制,4)Snとの界面の高温高湿界面劣化メカニズム,5)導電性発現機構，電気特性・熱伝導性,6)接合強度7)マイグレーション,8)実装時間,9)リペア性という面とに分けて検討した内容が報告された

■ MJ-425--2002・・・ACFの開発状況と金属との接合メカニズム

松田和也（日立化成工業㈱）

　ＡＣＦ（異方導電性フィルム、Anisotropic Conductive Film）は、導電性粒子を接着剤中に均一に分散したフィルム状接着剤であり、その異方導電性及び接着性を利用して、液晶ディスプレイ（ＬＣＤ:Liquid Crystal Display）の実装分野、すなわちＬＣＤパネルとＴＣＰ(Tape Carrier Package)あるいはＴＣＰとＰＷＢ(Printed Wiring Board)の電気的接続及び接着に広く用いられている。ＡＣＦは、１９８０年代のＬＣＤ技術の発展にともない、接続ピッチの狭ピッチ化及び接続信頼性の向上が急速に進展していることから、高密度化、小型化、薄型化が要求されている半導体実装分野での新しい接続材料としても近年実用化され、ＩＣカード、スタックドCSP（Chip Size Package）、MCM(Multi Chip Module)等の半導体パッケージにも応用されている。また、現在電子機器類の接続材料として多用されているはんだに代わる、環境にやさしい鉛(Pb)フリーのはんだ代替材料としての応用も期待されている。ここでは、ＡＣＦの接続原理、材料特性及び応用例としてＬＣＤや近年実用化されたベアチップ実装の動向が報告された。

■ MJ-426-2002・・・導電性接着剤の機能について

甲斐朋斉（藤倉化成）

　導電性接着剤の機能は第一に電気的な接続を確保することであるが、近年の電気・電子デバイスの発展により、電気的な接合材料という本来の役割以外に機能デバイス（例えば耐熱性、柔軟性など）も求められてきている。導電性接着剤に使用される代表的な高分子材料はエポキシ系、ウレタン系、シリコーン系、ポリイミド系などがあるが、本講演では主にエポキシ系導電性接着剤の特性について紹介する。内容は、硬化物の物性及び信頼性や最近電子部品の電極処理として増加傾向にあるSnめっきとの相性、導電性接着剤、Pbハンダ、Pbフリーハンダのそれぞれを使用してチップ抵抗を接合した時の特性比較などである。導電性接着剤はハンダペーストに比較すると、抵抗値及び接着強度については劣っており、まだまだ課題が多いと思われる。しかし、長期信頼性（熱エージング、ヒートサイクル試験など）においては、導電性接着剤のメリットが見い出せるのではないかと考えており、ハンダペーストと導電性接着剤で信頼性試験を実施している。近年のエレクトロニクス分野の発展により、新素材、新工法が出現し、導電性接着剤への要求はますます高度なものになってきている。導電材料としてのこれらの要求に応えることにより、導電性接着剤の仕様、用途が拡大していくと考えるということが報告された。

■ MJ-427-2002・・・封止樹脂プリフォームによるフラックスレスフリップチップ接合技術

畑中康道，多田和弘，岡　誠次，藤岡弘文（三菱電機㈱）

　半導体デバイスの性能向上にともない、特に先端ロジックデバイスでは入出力端子数の増加が著しく、超多ピン化が半導体パッケージに要求されている。このような超多ピンパッケージには、はんだバンプによるフリップチップ接合が用いられており、多ピン化にともないバンプ間ピッチは将来150μm以下となることが見込まれている。このようなバンプ間の狭ピッチ化、チップと基板間の狭ギャップ化により、接合時のはんだバンプ間ショートの発生や、フラックス洗浄やアンダーフィル注入が困難となることが予想され、これらに対応した接合・封止技術が求められている。本報ではサイドフィル方式と同等の信頼性を確保し、今後の狭ピッチ化に対応可能なフリップチップ接合・封止技術の開発を目的に、封止樹脂プリフォームでのローカルリフロー方式によるフリップチップ接合技術開発およびパッケージの信頼性評価を実施した。プリフォーム樹脂を長ゲルタイムとし、接合時にはんだバンプと封止樹脂が同時に溶融する材料設計、接合温度の最適化により、樹脂層ボイドとはんだバンプ内ボイドの発生を防止してかつバンプ間にシリカ充填材のかみこみのない良好な接合が可能となった。封止樹脂の各成分の接合性への影響検討の結果、封止樹脂中のフェノール樹脂がフラックス活性を持つため良好な接合性を示すことがわかった。開発したシリカ充填プリフォーム樹脂を用いたパッケージ単体での、吸湿後のリフロークラック、温度サイクルによる信頼性評価において高い信頼性が確認できた事が報告された。

平成14年度配布資料一覧

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