1.当面の研究範囲・対象

本研究委員会は,自動車,車両,航空機,電機などの 分野で使用される薄板構造物や小物部品など,軽構造物の加工・組立工程で採用 される各種接合技術とこの接合技術を用いた生産性向上や品質保証のためのコン ピュータ利用技術,薄板構造物を対象とした接合・加工技術に視点を置いた生産 加工システム最適化の問題等に関する情報交換と人的交流を行うとともに,これ ら課題に対する情報整理と生産技術の体系化を図ることを目的としたものである .

現在は次に示す5つの分野にテーマを分けて研究・討議・情報交換を進めてい る.

  1. 薄板構造物を対象とした各種接合技術の相互比較
  2. 要素技術としてみた抵抗溶接技術及び圧接技術全般
  3. 薄板構造物や小物部品を対象としたアーク溶接技術とレーザ溶接技術
  4. 薄板・軽構造物の継手構造のあり方と強度の評価
  5. 薄板構造物生産システムの最適化と効率化のためのコンピュータ利用技術
特に近年は,各要素技術の高度化のためのコンピュータ利用技術に加えて,品 質保証や生産システムの最適化,効率化のためのインフラ整備としてのコンピュ ータ利用 技術を調査し,生産性向上やセンシング技術を含めた品質保証システムの確立, 信頼性のある無人作業のための基礎知識の整理と情報交換を進めている.


2.平成9年度の活動方針及び活動計画

委員会は総合的な情報交換の場と捉え,年4回開催の内2〜3回は講演時間の 半分程度を特集テーマに設定し,効率的に情報収集できるようにするとともに, 参加委員 間の親睦のためのコーヒブレークを設定,委員間のネットワークを良くするよう 努めている.

また,上の1)〜5)の各テーマに対する調査・研究を効率的に行い,委員会参加 者に濃縮された情報を提供すべく,少人数制のWGを時限で設置,各種情報の整 理に務めている.このWGは委員会内での自由公募制とし,参加費無料,活動費 は委員会内部保留金から補助という形で運営し,自由・闊達な意見交換の場を提 供できるようにしている.

現在は,「薄板構造物の溶接変形とその抑制策に関するWG」と「接合加工シ ステム知能化の現状調査WG」,抵抗スポット溶接部の品質モニタリングと非破 壊検査方 法に関する調査・検討WG」の3つが活動を行っており,本年度も新規WGの設 置を計画している.

また,本研究委員会では,将来を担う若手溶接・接合技術者の育成にも力を注 いでおり,昨年度からは若手技術者や若手研究者に対する講演奨励賞を設定して いる.また,中堅技術者や中堅研究者に対する優秀講演賞や,委員会に長年貢献 を戴いた方に対する功労賞を設け,その労に報いる体制を採っている.

さらに,WWWのホームページを開設し,委員会活動状況の公開に努めている .

本年度の委員会日程はこちら


3.昨年の活動状況
3.1 委員会
第33回:平成8年6月6日(東京)
180:AlーMg合金板の抵抗スポット溶接性に及ぼす諸因子の影響 神鋼 ○今村、岩瀬、笹部
181:インターネットにおける接合技術情報の流通 埼玉大 前川
182:軽量化・高機能化のための異種材料接合技術とその動向 ー プロセス技術者の立場からみた異種材料接合技術の現状と課題 ー 軽構造接合加工研究委員会編
183:抵抗溶接の品質保証規格ーCEN,ISO,IIWの動向ー 大阪工大 佐藤
184:テーラードブランク用マッシュシーム溶接部の基礎特性 住金 内原、栗田、広瀬、福井
マツダ 福岡
185:薄板用アーク溶接の最近の進歩 日立 三田
第34回:平成8年9月12日(大阪)
186:溶接による座屈変形の整理パラメータに関する研究 東大  野本
九工大 寺崎、前田
187:自動車構造体における溶接組立精度自動コントロールシステム ホンダエンジニアリング 岡崎
188:高速車両の軽量化の現状と課題 鉄道総研 鈴木
189:ろう付アルミハニカムパネルの強度特性について 神鋼 小林、高橋、影山、畑山
190:IISIのULSABプロジェクトの概要について 新日鐵 栗山
第35回:平成8年10月25日(名古屋)
191:アルミ新幹線構体溶接ロボットシステムの開発と実適用 川重 木下、服部、松村
長谷川、武市、瀬戸
192:溶接製缶作業における多品種少量生産の効率化事例 新明和 宝角
193:1996年度IIW第III委員会報告 第3委員会委員長 佐藤
194:Report on Resistance Welding and Related Welding Process Studies in Japan -1995- JIW Com. No.3
第36回:平成9年1月23日(東京)
195:レーザ溶接に適用されるモニタリング法の特徴とその応用 レーザ応用工学研究所
 渡辺、中林、井上
阪大 松縄
196:サーモグラフィー法を利用したスポット溶接部の非破壊評価 熊本大 里中、有馬、赤峰
OBARA 西脇、河野
197:協調作業を適用したアーク溶接ロボットの技術 ダイヘン 笠上、清原
198:視覚センサを搭載した全自動溶接システム 日立 柴田、今永、羽田
石丸、小林
199:WWWを用いた分散型生産ノウハウデータベース 東芝  牧野
埼玉大 前川、古川
3.2 ワーキンググループ
  1. 薄板構造物の溶接変形とその抑制策に関するWG
        (主査:阪大溶研 村川幹事)
      第5回WG 平成8年 4月 3日(水)
  2. 接合加工システム知能化の現状調査WG
        (主査:埼玉大 前川幹事)
      主査が1年間米国滞在のため本年度はインターネットを利用して随時会合を行った。
  3. 抵抗スポット溶接部の品質モニタリングと非破壊検査方法に関する調査・検討WG
        (主査:熊本大 里中主査)
      第5回WG 平成8年 6月 5日(水)
      第6回WG 平成8年 9月11日(水)
      第7回WG 平成8年12月 5日(木)
  4. 「各種材料のスポット溶接」テキスト作成WG
        (主査:阪大 松山委員長)
      第5回WG 平成8年 3月12日(火)
      第6回WG 平成8年 4月24日(水)
      第7回WG 平成8年 6月13日(木)
      第8回WG 平成8年12月 3日(火)

3.3 見学会
 三菱自動車工業名古屋バス製作所(平成8年10月25日)
3.4 シンポジウム
 アルミニウム合金スポット溶接分科会の成果報告会を兼ねた「アルミニウム合 金板とアルミ鋳物の接合技術」シンポジウムを平成8年7月10日に東京で開催 した.
3.5 表彰
 中村尚範氏(トヨタ)に優秀講演賞を,葭原裕彰氏(豊田織機)と釜堀秀也氏 (日産),後藤康宏氏(松下)の方々に講演奨励賞を贈呈した.また,下岡健蔵 氏(大電)に功労賞を贈呈した.
詳細はこちら。
4.研究委員会連絡先

〒101 東京都千代田区神田佐久間町1ー11
     (社)溶接学会    事務局  松尾泰子
     Tel (03)3253-0488,   FAX (03)3253-3059

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