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M J S 第27回ソルダリング分科会
  発表資料一覧
 日時:平成11年7月9日 (金) 10:30〜17:00
 場所:化学会館 (東京 御茶ノ水)

【主題 普及期に入ったウェハレベルパッケージの最新マイクロソルダリング技術】

○ MJS-152-99    「電気めっき法によるSn-Ag系はんだバンプの作製」
        信州大学 新井 進,篠原 直行,金子 紀男
 高密度実装およびはんだの鉛フリー化の要求から、電気めっき法によるSn-Ag系はんだバンプの形成について検討した。先ず、Sn-Ag系合金の電析について電析挙動、膜構造、膜特性等を明らかにした。電析したSn-Ag合金の相構造は、β-Sn相およびAg3Sn相であり、電析Sn-Ag-Cu合金の相構造は、β-Sn相、Ag3Sn相およびCu6Sn5相であった。これらの構造は平衡状態図と一致した。電析合金の溶け始め温度は、Sn-Ag膜およびSn-Ag-Cu膜でそれぞれ221℃および217℃であった。これらめっき技術の基礎検討を基に、バンプ形成を行った。バンプ形成を行うためのパターンめっきでは、レジストへのめっき液の浸食性が問題となる。また、組成ばらつきの無いバンプめっきを行うためには、めっき表面の平滑性等も重要となる。ウェットバックを行うとSn-AgバンプではAg3Snの初晶の析出、Sn-Ag-Cuバンプでは、Ag3Snに加えてCu6Sn5等の初晶の析出が問題となる。これらは、めっき物の組成を制御することにより回避できると考えられる。これらの基礎検討をもとにシリコンウエハを基板としてバンプめっきを行い、高さ100mm程度のボール型バンプが形成できることが報告された.



○ MJS-153-99    「スクリーン印刷によるバンプ形成」
        マイクロ・テック(株) 佐野 康
 ファインピッチソルダバンプ印刷の諸問題は,従来から利用されていた「オンコンタクト印刷法」の原理に起因すると考えられる.つまり,マスクとワークの接触時間が長いためのにじみの多発と強制版離れ機構でのメタルマスクのたわみによる膜厚の不均一である.スクリーン印刷とはそもそもペーストの粘弾性の変化を利用するプロセスであり,ソルダペーストの印刷においてもその基本である「オフコンタクト印刷法」によるバンプ形成を試みた.印刷条件,メタルマスク,そしてペーストの適正化を計りこの「オフコンタクト印刷法」により170μmピッチ,高さ70±5μmのバンプをにじみなく連続印刷する事ができた.又,「オフコンタクト印刷法」の唯一の欠点である,メタル開口径が大きい場合のにじみを抑えるために,補助スキージにより印刷前方のスクリーンとワークを接触させて印刷する「プレコンタクト印刷法」を提案した「プレコンタクト印刷法」とは,スキージング前のペースト充填は「オフコンタクト印刷」の利点,スキージングの後の「版離れ」は,「オフコンタクト印刷」の利点を採り入れている方法である.この方法による2層印刷により1.0mmピッチBGA基板のボール代替のためのテストを行い良好な結果が得られるという報告がなされた.



○ MJS-154-99    「バンプ用ソルダーボールについて」
        千住金属工業(株) 加藤 力弥
 接合材料としてのはんだの形態も最近は大きな様変わりを見せている.その根本はエレクトロニクス産業の中で大きな分野を占める電子デバイスのパッケージ技術がわずか5年ほどで急速な変革と発達を遂げたことにある.これに伴って実装接合体としてハンダボールがチップ側,基板側に使用される比率が高くなった.従って大まかに述べるとボール接続ポイントは現在数百億個となっている.表面実装においてはパンブボール接続は技術の多様化によって材料としてのはんだも又応用の広がりを見せてくれたといえるものです.バンプ接続はパッケージのピンピッチによって又構造や用途によっても,はんだ材料,形成の仕方等いろいろ変化することからソルダーボール,又は他の方法によってバンプを形成し接続する工法は今後ますます発展が予測でき,数年で1000億個は超えるものと考えられ,Pbフリーバンプは製品化しながら開発,特性調査が並行せざるを得ない現状ではSnAgCuが有力であるという報告がなされた. 



○ MJS-155-99    「Super CSPの開発」
        富士通(株) 米田 義之
 現在までに数多くのウェハレベルCSP(WLCSP;Wafer Level CSP)の開発が報告され,いくつかは実用段階に来ている.ウェハプロセス以降から最終のパッケージ個片化工程(ダイシング工程)まで,パッケージング全てをウェハ単位で製造する技術であり,リアルチップ化や製造プロセスの効率化,などに対し大きなメリットと可能性を有している.配線基板型は構造がCSPと同等となるが,配線基板の配設はチップ単位であり,WLPのメリットが出しにくい.一方,再配線型はプロセスや構造が単純というメリットを持つが,パッケージ単体や実装後の信頼性に課題を有している.それに対し樹脂封止型は,回路保護にASICやメモリ用パッケージの封止材として実績を持っているエポキシ樹脂を使用しており,高い信頼性を有している. 我々が開発したSuperCSPは,樹脂封止型の代表例であり,その構造ゆえに良好な信頼性を有している.このSuperCSPの実現によってKGDが容易に手に入る段階となり,新たな市場やアプリケーションを生み出す可能性も高まっているが,課題となる部分も多い.SuperCSPを含めたWLCSPはリアルCSPであるゆえに,実装端子のファンアウト化は不可能であり,狭ピッチ化は避けられない(チップサイズ7mmSQ144ピンの場合は,端子ピッチ0.5mmのフルマトリックス配列となる).SuperCSPの普及には,まず狭ピッチ化に対応する,ローコストな実装技術,基板技術の開発などインフラ整備が必須である.このようにウェハレベルパッケージングは必ずしもメリットばかりではないが,この技術を使いこなすインフラを充実させることで,KGD越えるパフォーマンスを享受することが可能であることが報告された.



○ MJS-156-99    「インジウムソルダを用いたフリップチップジョイント」
        日本アイ・ビー・エム(株) 塚田 裕
 Flip Chip Attach(FCA)は,セラミック基板と比べ安価な樹脂系の基板にベアチップフリップチップ実装を行う技術である.セラミック基板を使用する従来のフリップチップ実装に対して,FCAはそのフリップチップ接続部をエポキシ樹脂で封止する.この樹脂封止フリップチップ接続の一つとして,ワイヤーボンディングチップ上のAl電極パッド上にAuバンプを設け,それと基板のCu端子との間をはんだを用いて接続する方法がある.この方法は狭ピッチのAuバンプを使用するにあたり,SnPb共晶はんだではAu-Sn金属間化合物の生成のため接合部がもろくなり使用状態での寿命が短いので,Snの含有量を減らしたSnPbInはんだを使用した.しかし,SnPbInはんだは融点が低く(138℃),BGAなどを造る場合にBGAボールを接合するSnPb共晶はんだと同時に溶融すると金属間化合物の生成が激しく,Auバンプが著しく食われ接合部の形状を損ねる.この問題を防ぐため,基板側のはんだをInのみにし,Au/Inの構成を使用する接続部を設計し製品化した.また,環境対策としてPbフリーはんだの要求が高まっており,Pbをフリップチップ接続部から取り除くことにも貢献した.樹脂封止フリップチップ実装において,チップ側Auバンプと接合する基板側端子金属としてInを取り上げ,信頼性実験を行った結果,以下のことが判明した.Au/In接合部特有な破断モードとして拡散と接合部の形状変化によるオープン故障が生じる.温度ストレス後,接続部にはAuIn系として,AuIn2,AuInおよびγ'相(Au7In3)が,Cu-In系ではψ相(Cu11In9)の金属間化合物が生成される.オープン故障はAuIn2とψ相との界面で剥離による.Inがバルクとして存在している時点では故障は確認されておらず,AuとInの比率などを踏まえたはんだ量の管理が重要であることが報告された.



○ MJS-157-99    「フリップチップタイプBGAの実装信頼性」
        沖電気工業(株) 野中 裕司,古里 貞二郎,渋谷  仁
 近年,電子機器の小型,高機能,低コスト化の要求に伴い,半導体パッケージはBGA(Ball Grid Array)やCSP(Chip Size Package)に代表される高密度実装技術が開発され,採用が急速に増えている.また今後は,小型・高性能・多ピン化に対応するため,パッケージの内部接続にフリップチップを応用したBGAやCSPが増加する傾向にある.そこで今回,BGAの実装信頼性に影響を与えるであろう因子に着目し,種々の水準における信頼性評価と共に有限要素法によるはんだ接合部の応力・ひずみ解析を行った.半導体チップとインタポーザ基板の1次側実装因子としてチップサイズ,チップバンプ高さ,バンプ接続形態を,インタポーザ基板とマザーボードの2次実装因子としてインタポーザ厚・材料を各水準とした.評価方法は,温度サイクル試験による接続信頼性と高温高湿バイアス試験による絶縁信頼性試験を行っている.試験条件は,-40℃/125℃の温度サイクルと,60℃90%50V印加の高温高湿バイアスである.上記信頼性評価結果とはんだ接合部の応力・ひずみ解析の結果により,多くの因子で接続寿命の傾向が一致したという報告がされた.



○ MJS-158-99    「BGAはんだ接合部の疲労寿命評価」
        横浜国立大学 于  強
 現在,電気機器の高性能,高密度化に伴い微細化された電子デバイスはんだ接合部では,電子デバイスとプリント回路基板の線膨張率の差に起因して生じる熱応力の問題が注目されている.このため,はんだ接合部の熱疲労強度評価が重要な問題となっている.はんだ接合部の疲労強度試験法としては,熱サイクル試験が一般的に用いられている.また,その加速試験法として線膨張率の差によるミスマッチを強制変位として与えるせん断型機械的疲労試験法を提案された.これらの研究成果によって著者らは,より高密度化が可能なBGA(Ball Grid Array)はんだ接合部の熱疲労強度がはんだ接合部に生じる非線形ひずみ振幅を用いることによりManson-Coffin則にて評価できるとの結論を得ている.しかし,これはBGAはんだ接合部単体についての評価寿命を行ったものであるため,BGAアセンブリ全体の評価を行うためには今まで提案してきた評価則の適用方法を確立する必要がある.本研究では,3点曲げ疲労試験法を用いてBGAアセンブリの中のはんだ接合部の非線形ひずみ評価手法を確立し,熱疲労強度評価をBGAはんだ接合部単体と同様に行い,せん断型機械的疲労試験法と3点曲げ疲労試験法のその整合性を検討した.熱サイクル疲労試験の代用として機械的疲労試験(せん断型疲労試験と3点曲げ疲労試験)の有効性を示せることがわかった.そしてBGAアセンブリもはんだ接合部単体と同様に評価できることがわかった.機械的疲労試験においてせん断型疲労試験は与える変位が小さいことから変位制御が困難であるが荷重ドロップによりき裂の発生観測することが簡単である.比べて3点曲げ疲労試験は大きな変位を与えて試験できることから変位の制御が簡単であり,実アセンブリをそのまま試験できるという利点がある.しかし,荷重のドロップがほとんどなく,き裂の観測は困難である.このようなことから場合に応じて分けて使うことができると考えられる.また,機械的疲労試験及び,熱サイクル疲労試験によるばらつきの試験を行い,両試験結果の傾きはほぼ等しいことが分かった.ばらつき試験の結果及び,熱疲労寿命評価則を用いることにより,BGAアセンブリのはんだ接合部における破壊確率を考慮した熱疲労信頼性評価ができるということがわかった.それから,熱疲労信頼性評価式を算出し,そして3次元解析より,ある試験条件,信頼性保証破壊確率における,あるBGAアセンブリのはんだ接合部の疲労寿命の算出ができると考えられるという報告がされた.
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