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M J S 第22回ソルダリング分科会
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 日時:平成8年10月4日(金)10:00〜16:00
 場所:ボルフォ−ト富山
 
【主題 ファインピッチマイクロソルダリングの信頼性と検査/Pbフリ−ソルダ】
 
○ MJS-117-96 「はんだ接合部における各種信頼性試験と破壊モ−ド」
        (株)アイテス 信頼性・材料技術部 山下 勝,三浦 伸仁,竹内 光一
        日本アイ・ビ−・エム(株) 液晶生産技術部 大熊 秀雄 
電気・電子機器における実装技術の発展は目覚ましいものがあるが、同時に使用条件も多岐にわたり、かつ過酷になってきている。従って、この様な厳しい環境の元で高い信頼性を確保することが重要となってきている。また、開発サイクルがますます縮まってきており、設計から信頼性試験・評価までを迅速にとり行わなければならない。従って、それには設計・信頼性試験・解析評価・設計へのフィ−ドバックまでの一連の過程を体系的にアプロ−チできるシステムが必要である。当社では、信頼性試験から解析評価までの一環したサ−ビスを行っており、本報では、この様な開発過程において発生した、特にはんだ接合部の種々の破壊現象についてその解析方法と解析事例を述べる。



○ MJS-118-96 「パワ−デバイス分野における半田付接合部の信頼性」
        富士電機(株) 生産技術研究所 山下 満男,塩川 国夫
                      多田 信司
 Siチップとはんだ接合した部位については、Siチップからはんだ接合部を介した熱伝導性(放熱性)の観点からもはんだ接合部性状の安定性は特に重要である。本報では、Siチップはんだ付け部について、ヒ−トサイクルを実施した場合におけるはんだ接合部(PbSnAg系)の損傷形態と、接合条件、フィレット形状などとの関係について調べた結果を報告する。接合サンプルは、Siチップと銅板を、接合時間が異なる電気炉中及びダイボンダ装置を用いてはんだ接合した。ヒ−トサイクルによるはんだ接合部のクラック発生状況を超音波顕微鏡によるはんだ損傷は、はんだ接合部のクラック発生状況を超音波顕微鏡による非破壊検査及びはんだ接合部の縦断面観察により調べた。ヒ−トサイクル試験によるはんだ接合部の端部フィレット形状によりクラック発生箇所が異なるが、発生後の進展は両者とも界面付近はんだ部を進展している。ミクロ組織によるクラックの進展状況の有意差はみとめられなかった。クラックの発生箇所、進展経路は応力解析結果とほぼ対応している。フィレット形状により、支配的なひずみ成分が異なるが、混合モ−ド下における疲労損傷はミ−ゼス相当ひずみ、応力−変位エネルギ−によって統一的に評価できる。クラックの進展状況及び解析結果から、今回の接合条件の範囲では、クラックはほぼ力学的に支配されて発生、進展しており、Siチップ/はんだ接合界面は、ヒ−トサイクルに対しては十分な接合強度を有しているといえる。また、Siチップをはんだ接合する際に発生するボイドを、熱重量分析計と質量分析計を組み合わせたTG-MS法にて調べた。



○ MJS-119-96 「電気・化学的マイグレ−ションの予測シミュレ−ションの現状」
        東海大学 工学部 津久井 勤
 電子機器では、ダウンサイジングの傾向は急速で、広範囲に及び、広く家電製品から各種情報機器に使われるようになって、絶縁信頼性の問題がクロ−ズアップしてきた。この背景には、導体間隙が狭くなって平均電界が高くなってきただけではなく、局部的な電界が一層効いてくるようになったことと、使用条件や雰囲気が多様化してきたことによると思われる。電子機器における信頼性を決める主要因は、イオンマイグレ−ションを中心とする電気・化学的劣化である。この劣化による信頼性評価は、現実問題として、一条件の加速試験と実績とを加味して行われることが多い。しかし、一層のファインパタ−ン化の推進によって、パラメ−タを種々変えた試験から評価する必要性が出てきており、少ないながらも寿命評価式は提案されるようになってきた。本論文では、これらのデ−タを整理して、寿命評価式と定数についての考察を加えた。これらの寿命式は、経験則か精々半理論式に留まっており、実績を積むことが大切である。しかし、いつまでも多数の試料で長時間掛けた評価ができないので、シミュレ−ションによる予測を併用し、将来的には寿命予測シミュレ−ションを確立して、試料数が少なくしかも短時間で信頼性評価ができるようにもっていくことが大切である。



○ MJS-120-96 「はんだ材料の電気・化学的信頼性」
        松下電子部品(株) 品質管理部 西浦 正孝
 電子機器の小型による狭ピッチ化、低消費電力化等による結露環境の増加によりイオンマイグレ−ションの問題について、はんだ材料およびフラックス材料の電気・化学的信頼性評価を行った。はんだ材料については、一般的に使用されるSn・Pbはんだと我々が開発したSn・Ag・Cuはんだおよび単一成分でのアノ−ド分極、腐蝕電流、カソ−ド分極、溶解度積による基礎的な検討を行った。Sn・Pbはんだは陽陰極間の電場が小さいとき、Sn、Pbが同程度陽極から沈殿し、雲状の形態を示す。一方、Sn・Ag・CuはんだはSn・Pbはんだより耐イオンマイグレ−ション性に優れるがAgの偏析に対する配慮が必要である。フラックス材料については、市販されているフラックス材料についてリフロ−前後の電気・化学的信頼性とメニスコグラフ法によるはんだ濡れ性評価を行った。有機酸系フラックスはリフロ−加熱処理により分解または揮発し電気・化学的信頼性は改善されるが、未反応で残ると信頼性を低下させる可能性がある。また、電気・化学的信頼性の評価方法として、リフロ−処理後の残渣の評価方法が重要である。今後、さらに電気・化学的信頼性に対しては、厳しい状況が予想され、はんだ材料およびフラックス材料の開発、それらの評価技術の開発が期待される。



○ MJS-121-96 「光学的半田付外観検査装置と品質評価について」
        名古屋電機工業(株) オプトエレクトロニクス事業部
                  池口 雅彦
 いわゆる光学的半田付外観検査装置は1989年頃より実用化され、バブルの崩壊でその需要は一時的に落ち込んだものの、最近では部品のさらなるファイン化とともに一時の大手中心から脱却し、サブコンと呼ばれる中小企業の企業までその需要が拡大し、新たな市場形成が進んでいる。本稿ではこれら光学的半田付外観検査装置について画像処理方式、レーザー式、その組み合わせ方式等メーカー各社の測定原理別の紹介を行うと共に、検査点がリードの先端あるいは電極外側に限定されるがゆえの光学的半田付外観検査装置の宿命的問題点およびこれを解決するためにユーザーとの間で派生した半田付品質向上のための正の循環について現場の視点から報告する。又、非常に微細に絞ったレーザー光で、半田面を掃引し、その反射光の角度から半田面の形状を測定し、半田面の形状に対して良否の設定を行う当社独自の半田付外観検査装置の実際と今後について、特に他社に比し特徴的な工程改善用の半田品質管理情報の面から報告する。



○ MJS-122-96 「Pbフリ−はんだの現状」
        千住金属工業(株) テクニカルセンタ− 加藤 力弥
 Pbフリ−はんだに於いて現在の開発状況を見ると発表されたものは殆ど低温化をはかったはんだに関する合金であり高温領域合金については全く手つかずである。しかしその結果も明確に代替と規格化できるとは、未だ不足であると評価されるものばかりである。以下に現状を示すと共に今後の対応すべき方向についても示したい。1)最低固相温度はんだはサイクルテスト125℃に耐性を持つものと言える。又、リフロ−温度条件で最低195℃最高230℃の間で部品、基板が加熱されはんだ付けされうる合金。2)中間固相温度は210℃以上のもので上記1)のリフロ−条件、又250℃でのフロ−はんだ付け条件ではんだ付け部の再溶融が起こらない合金。3)高温固相温度はんだは上記2)の合金で1次はんだ付けを行い2次はんだ付け時に初期はんだが再溶融しないことを保証できる合金、又現在はこの領域により長寿命はんだとしての役目を持つ低Snはんだも含まれていると考えられるがこの対応は温度に関わりない。以上が現状望まれる合金であろう。これに対して将来の予測は、1)ベ−ス合金に関わらずBiを多量に含む低温はんだ、Znを多量に含む低温はんだしか上記1)に該当するものはない。しかも、現状3)は対応がかなり厳しい。従って、現状2)が3)に該当するものと考慮せざるを得ない場合もあり得る。よって、最悪の時この領域は最低と中間の2つに分離することもあり得る。2)現状2)の該当品はAg系、Sb系にて容易に対応可能である。しかし、Sb系はぬれの問題もあり、Sn−Ag−Cu系が現状では最も適正がある。3)いずれの領域に該当してくるか明確ではないが、導電ペ−ストの適用もあり得る。4)現在用いられている各はんだの役割を見直し再構築することによりそれぞれの作業に合致するべき合金の選択をやり直して種類を決める。



○ MJS-123-96 「Sn−Ag合金めっき法の開発」
        長野県精密工業試験場 新井 進
        東京都立大学 工学部 渡邊 徹
 現在、Pbフリーはんだの開発は鋳造した合金について研究が進んでいる。しかし、ソルダリングに用いられる実装部品は、接合部にあらかじめはんだめっきされるケースが多い。よって、はんだめっきの無鉛化も必要になると思われる。そこで、Pbフリーソルダの有力な候補の一つと考えられているSn−Ag合金のめっき技術の開発を行った。従来、報告されているSn−Ag合金めっき浴は、人体に有害なシアン化合物を用いたものであったため、シアン化合物を含有しない新規なSn−Ag合金めっき浴を開発した。本めっき浴は安定であり、空気かく拌にも耐える。本めっき浴から電析したSn−Ag合金膜の結晶構造、微細組織を調べた結果、鋳造したSn−Ag合金と類似した構成相からできていること、および結晶粒の大きさがサブミクロンオーダーであることが分かった。DSCで測定した合金皮膜の融け始め温度は221℃であった。また、メニスコグラフ法で合金膜のはんだ付性(ぬれ時間)を評価した結果、はんだ付性は合金膜の組成に僅かに影響され、合金膜の厚さにほとんど影響されなかった。
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