第56回研究委員会 平成13年1月19日
IJ-17-00
「新しい溶射プロセス『コールドスプレー』」
信州大学 工学部 機械システム工学科   榊 和彦

 最近,注目されはじめている新しい溶射プロセスにコールドスプレー(Cold Spray)がある。この溶射法は,溶射材料の融点または軟化温度よりも低温のガスを超音速流にして,その流れ中に溶射材料粒子を投入して加速させ,固相状態のまま基材に高速で衝突させて皮膜を形成する技術である。本報ではこのコールドスプレーの開発の経緯,成膜の原理及び研究の状況や動向などについて筆者の調べた範囲での情報ならびに研究室における研究の状況を概説する。
IJ-18-00
「プラズマ溶射プロセスの最適化数値シミュレーション」
東北大学 流体科学研究所   佐藤 岳彦,西山 秀哉    
ロシア科学アカデミー   オレグソロネンコ(Oleg P. Solonenko)
 プラズマ熱流体モデルと溶射皮膜生成モデルの統合により,微粒子注入から基板への溶着・凝固までを統合したプラズマ溶射プロセスの数値シミュレーションを行った。プラズマジェットの温度場、速度場は異なる作動圧や高周波誘導電磁場の有無により制御可能である。これにより、プラズマ溶射で重要因子である粒子の基板衝突温度や衝突速度の最適化を図った。さらに、衝突粒子が基板上で安定に溶着・凝固する条件を、粒子注入条件や作動条件に対しパラメトリックに検討した。本研究における、プラズマ熱流動場と皮膜形成統合数値シミュレーションの手法により、皮膜生成のための最適な溶射条件の抽出や溶射トーチの設計資料の提供を可能にした。
IJ-19-00
「第55回界面接合研究委員会議事録」
IJ-20-00
「平成12年度界面接合研究委員会推定決算書
平成13年度界面接合研究委員会事業計画(案)並びに収支予算(案)」
IJ-21-00
「レーザ溶射法による金属間化合物膜の創成」
愛媛大学工学部     西田 稔,荒木 孝雄
                 愛媛県工業技術センター 友近 宏
                 且l国溶材       平原  司
 本報告では、溶射材に0.3mmまで細線化したチタン、アルミニウムおよびニッケルワイヤを縒り線にした直径0.9mmの複合ワイヤを用い、この複合ワイヤを不活性雰囲気中で出力1.2kWのCO2レーザ焦点近傍に連続的に供給し、TiAlおよびNiTi金属間化合物の紛体および基材金属へ積層させる方法を検討した。その結果、TiとAlのように融点差が1000K以上も異なる複合ワイヤを用いても、複合ワイヤ組成に近い金属間化合物紛体および気孔率が5%程度の皮膜を得ることができ、大越式摩耗試験で評価したTiNiおよびTiAl皮膜の耐磨耗性は、ともにアルミニウムに比べ10倍程度向上した。
IJ-22-00
「Ni基合金溶射皮膜の密着強度に及ぼす溶射粉末の溶融状態の影響」
石川島播磨重工業梶@生産技術開発センター   園家 啓嗣  
 2種類の粒径の溶射粉末を用いて高速ガスフレーム溶射したNi基合金の溶射皮膜について、皮膜の密着強度に及ぼす溶射粉末の溶融状態の影響を評価した。溶射材料には、NiCrBSiと50Ni-50Crを用いた。
 十分に溶融した粒子の場合と半溶融状態の場合を比較すると、粒子が十分に溶けた状態では密着強度は不十分であるが、半溶融の粒子は皮膜の密着強度を改善させることが分かった。
IJ-23-00
「アルミニウム合金のFriction Stir Welding 現象」
     名古屋大学工学研究科  篠田 剛
                      名古屋大学大学院    柴田 大輔
 FSWのピン部とショルダー部からの入熱量を別個に算出する事を試みた。すなわち、ピン部とショルダー部を分離した形態でFSWを行い、その最高到達点温度、接合部、HAZ部の断面積から各入熱量を求め、その和から簡易的にFSWの入熱量を求めた。この結果を要約すると、
(1)FSWの入熱量は35.6J/mm〜135.5J/mmであり、同一板厚のMIG溶接よりかなり小さい値を示  した。
(2)FSWではピン部からの入熱の影響がショルダー部よりも大きく、ピン部が総入熱の60%を、シ  ョルダー部からが40%程度である。
IJ-24-00
「超細粒高張力鋼の接合」
        金属材料技術研究所 フロンティア構造材料研究センター
                大谷 忠幸,雀部 謙,荒金 吾郎,塚本 進
 良好な溶接性を確保するため炭素当量を低く抑え、サブミクロンサイズまで結晶粒径を細粒化することで高強度化を実現する超細粒高張力鋼に対し、アーク溶接を実行すると、HAZが軟化し強度が低下する。そこでHAZ軟化を回避するために、急速加熱急速冷却の溶接プロセスを適用することが有効と考えた。スポット溶接、大出力Co2レーザー溶接、高周波抵抗溶接、摩擦圧接を実行した結果、HAZ軟化が軽微で良好な溶接継手が得られることが明らかとなった。いずれの場合もHAZは粗粒化するものの、急速冷却ゆえに島状マルテンサイトあるいはマルテンサイトが生成され、HAZの軟化が抑制された。
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